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2005年12月31日 (土)

洗練された raffiné ブゾーニの魅力

私がブゾーニに関して一番感じることは、彼が洗練されているということです。19世紀から20世紀にかけてベルリンやウィーンを中心に八面六臂の活躍を続けたブゾーニは、単なる音楽家とは言えないほど、多彩な才能を見せています。美術に造詣の深い人が、「ブゾーニの描いたスケッチはユーゲントシュティールのものである」と言っていました。もちろん、ブゾーニは音楽家としても、ピアニスト、作曲家、編曲家、指揮者。教育者、著述家など、様々な面を見せています。ブゾーニがゲーテの『ファウスト』に対抗して作った《ドクトル・ファウスト》は、絶世の美女ヘレナには歌手でなく、ダンサーを使おうとしていました。実際のところ、ヘレナには歌手よりもダンサーの方がふさわしいと思います。この時、候補に挙がったイサドラ・ダンカンモード・アランはいずれも当時一流の女性モダン・ダンサーでした。彼女たちは大変スキャンダルの多い女性であったにもかかわらず、ブゾーニとの関係では醜聞を残していません。また、作品中、グレートヒェンの兄が殺されるという奇想天外な場面では、モダン・ジャズの先駈けとも言えるメロディアスな音楽を使っています。オペラ《アルレッキーノ》では、主役の二人がダンサー、または踊りの嗜み(たしなみ)がある俳優によって演じられるようになっており、昔ダンサーの端くれであった私にとっては非常に面白い作品です。そういう部分を紹介しながら最終的には、ブゾーニが「20世紀のレオナルド・ダヴィンチであった」と言っても過言ではないことを証明したいと思っています。ただし、彼は数学教育を受けなかったのか、奇妙なところで数学的には初歩的なミスをしていたりして、完璧ではないところが、余計に興味をそそられます。

私は自分の洗練度が足りないので、「洗練された人」が大好きです。これは私の「美学」の出発点と言っても良いでしょう。現実にも、一般には知られていない「或る非常に洗練された大物経済人」を存知上げており、ブログにフル・ネームを書きたいくらいですが、その方はマスコミにも顔を出されず、このブログに名前を出すことも拒否されているので残念ながらお名前は出せません。ともかく、その方は、洗練された話し方をなさいます。 Il a une manière raffinèe de parler. ラバン、ミッシェル・ポルナレフ、マイケル・ジャクソンは、性癖に問題のある写真を残してしまい、「洗練」とは程遠いため、残念ながらブゾーニとは決定的に扱いを変えています。特に、ミッシェル・ポルナレフについては、異常な写真の存在を知ったのが最近のことなので、まだ受け入れられない状態でいます。私が子供の頃のミッシェル・ポルナレフは、クラシカルな音楽教育を受け、他のアーティストたちとまるで違う光を放っており、私の偶像の一つだったものの、彼の奇行があからさまになったスキャンダラスな写真のために偶像ではなくなりました。しかし、私のポピュラー音楽・生活の出発点とも言えるミュージシャンなので、今だに彼の曲は聴きます。また、私と私の同居人の人生の一時期はマイケル・ジャクソンの歌や踊りとともにあるようなものでした。

話題を日本人の「動き」に変えます。イチロー、東山紀之、(マツケン・サンバの振付師)真島茂樹さんの「動き」も、或る意味で洗練されています。真島さんを別格扱いしているのは、20年以上前に私がモデルやダンサーをしていた時、私の友人(野田哲由君・私とは高校の同窓生で、現在は某大学の先生)が当時日劇のトップダンサーだった真島さんに、私の下手な踊りの写真がたくさん掲載されたアルバムを手渡してくれたことがあるからです。マツケン・サンバで一躍有名になられましたが、(失礼ながら)あのお歳であれだけ動けるのは素晴らしいと感心しています。女性の有名人として興味があるのは、バレリーナのシルヴィ・ギエムと草刈民代です。また、現時点では青森に在住し、地道に活動している上野智子(うわのともこ)さんも将来、必ず日本の現代舞踊家の一番手として舞踊史に残ると思います。ブログに断りなく挿入してある写真の中には、25~20年前の私の写真です。

私は高校時代、一般の日本人には想像・達成することが不可能なほど多芸多才なピアノの先生に師事しました。堀部博海先生という方なのですが、堀部先生は、まだ大学院へ行くのが難しい時代に、法学修士号と経済学修士号を取得され、税理士の看板を掲げる傍ら、僧侶・牧師・大学教授・ピアニスト・ピアノ教師・書道家などとして活躍しておられます。私は、堀部先生のもとで、バッハの楽曲を全てヘンレ版とブライトコプフ社のブゾーニ版の2種類を使って勉強しました。当時はブゾーニの顔を知らないまま、ブゾーニの解釈でピアノを演奏していたわけです。Dr.エルメンの本でブゾーニを見て、その美しさに惚れ惚れしました。ピアニスト・作曲家・編曲者・指揮者・音楽大学教授・著述家などとして、さまざまに活躍し、素晴らしいイラストまで残しているブゾーニの容姿が、良かろうと悪かろうと、彼が残した芸術の価値とは関係ないと思っています。しかし、せっかくブゾーニの写真が残っているのですから、彼の内面の美しさが外面にもにじみ出ていることを示したくて、ブログを作るに至ったのです。

2005年12月19日
20:14にDr.エルメンからメールが届き、ブログの目的がほぼ確実に達成出来そうな気がします。彼のご好意により、彼の本から写真を掲載させて頂けているのです。Dr.エルメンのお書きになった本は、とてもコンパクトなものですが、ブゾーニの魅力を存分に伝えてくれています。

Zu liebem Dr. Ermen,
Ich las die E-mail, die Sie mir sehr wunderbar gaben. Ich will das Buch übersetzen in Sie das irgendwann in Japanish Deutsch schrieben.

2005年12月21日
20:31にDr.エルメンから頂いたメールでは、日本の出版社が彼の本に興味を持ってくれて、私が訳すことになったら、推薦文を書いてくださるとのことでした。非常にありがたいお言葉です。 実は、ブゾーニ著『オペラの可能性について及び「ドクトル・ファウスト」のスコアについて Über die Möglichkeiten der Oper und über die Partitur des` Doktor Faust' ( Leipzig: Breitkopf & Hä rtel,1926 )』、ハインリッヒ・ベッセラーの講義録『ヨーロッパ音楽の声楽様式と器楽様式 Singstil und Instrumentalstil in der europäischen Musik( In Bericht über den Internationalen Musikwissenschaftlichen Kongreß, Bamberg 1953, edited by Wilfried Brennecke and et al,223-240. Kassel: Bärenreiter,1953 )』なども翻訳済みです。情報をきちんとお伝えしたいので、横文字ばかり並べてすみません。興味を持って頂けた出版社の方は、このブログの右にある「メール送信」からお知らせください。

2005年12月25日Akiko-08

ストレッチをしながら、フジテレビ系列の局で「日本フィギュアスケート選手権」女子のフリーの演技を見ました。最近の日本の女子フィギュアスケートは非常にレヴェルが高く、仕事の片手間ではなく真剣に見る価値があると思いました。ジャンプ一辺倒だった伊藤みどり選手の時代に比べると、随分レヴェルが高くなったものだと感心しながら見ました。1位の村主章枝選手、2位の浅田真央選手は何も言うことがないほど素晴らしく、心の底から感動しました。村主選手は、怪我で不振に泣いていたとは思えず、身体に無駄な筋肉もなく、全てが洗練されていて、女王の貫禄充分でした。また、天才少女浅田選手は年齢制限のために、トリノへ行けないのが残念ですが、まだ若いのでこれから先が楽しみです。3位の荒川静香選手は、いつもながら良い意味での色気と存在感があって素敵だと思いました。トリノオリンピックの選手に、村主選手と荒川選手が選ばれたのは、全く異存がありません。しかし、3番目の枠に中野友加里選手ではなく、6位に終わった安藤美姫選手が選ばれたのには、違和感を覚えました。安藤選手のファンには悪いけれども、最近の彼女は身体状態があまり良くありません。ついているバレエの先生の指導が悪い、ということも考えられます。「バレエ」と聞いて違和感を持たれた方は、今から認識を新たにしてください。私が「バレエ」と言う場合は、「トウシューズ」を履いて踊ることを指すのではありません。全ての美しい動きの基礎を作るためには、バレエのレッスンを受けるのが一番の早道です。かく言う私も昔、バレエを習っていて、バレエの世界では全くの「落ちこぼれ」「お客さん」という立場でしたが、モデルやジャズ・ダンサーとしては充分なお金を稼ぐことが出来ました。本当は、学校の「体育」の時間に「創作ダンス」などという無駄なことをやっていないで、バレエの基礎を教えれば良いと考えています。安藤選手の話に戻りますと、アメリカ人コーチが彼女に何を教えているかが、非常に気になります。スケート用語が分らないので、私はバレエ用語を使いますが、「アラベスク」「アチチュード」「パンシェ」のポーズがまるで出来ていません。17歳にしては無駄な筋肉が付き過ぎていて脚が重く、困っているのではないかと思われます。銀盤で舞うには、「舞」の練習が必要です。きちんとした先生について「バレエの基礎練習」をする必要があります。村主選手は、良いバレエの先生がついていると思います。先ほど、伊藤みどり元選手が解説者としてテレビに出て来て、安藤美姫選手に対するコメントとして「精神性を磨くように・・・」などと見当違いのことを言っていました。伊藤みどりファン・安藤美姫ファンの方、ごめんなさい。彼女たちに冷静な「美的価値判断」を加えるとすれば、こう書く以外にないのです。

2005年12月27日
ミキティ〈安藤美姫)さん、どうかチェケッティ・メソッド(今はロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスR.A.D と呼ぶのでしょうか・・・)でもワガノワ・メソッドでも良いから、きちんとした先生について、クラシック・バレエの基礎をきちんと教えてもらってください。今のあなたでは、トリノでメダルを取るどころか入賞も無理でしょう。あなたの絶不調を救ってくれるのは、「正しいバレエのレッスン」だけです。

2005年12月29日
20時からNHK教育テレビで「趣味悠々・パパイア鈴木のエンジョイダンシング!」という番組を偶然見ました。普段は語学講座をテキストなしで見る以外に、NHKの教育テレビを見たことがなかったので、こういう番組があったことも知らず、残念なことをしました。もし知っていたら、最初からずっと見たのに・・・今日は最終回だったようですが、昔なつかしいディスコのステップのオン・パレードでした。ビー・ジーズBEE SEESの名曲《恋のナイト・フィーバー NIGHT FIVER》に合わせて、ボックス・ステップ、スケーター、ソウル・ステップ、チャチャ、ハマ・チャチャ、ソウル・シーシー、ムービン・ステップ、バンプ、ハッスル、セックス・マシーン、ドゥー・イット、ファンキー・ストリート、バス・ストップ・・・46歳以下の人は、何のことか分からないでしょうね。これらのステップはジョン・トラボルタの名映画『サタデー・ナイトフィーバー』の大ヒットで始まったディスコブームの時代に、私たちの世代(今は中年世代)の人間が青春をかけて、踊っていたものです。今は「ディスコ」と言わずに「クラブ」と言うそうで、一体この番組がどういう意図で作られているのか良く分かりませんが、ともかく25分間楽しめました。「おやじダンサーズ」という4人組も出て来ました。頭が薄くなっていて、外見はいかにも「おじさま」という感じの人たちが、ちゃんと上手く踊っていたので、そのギャップに思わず微笑んでしまいました。「すごい世界」を垣間見てしまったような気がします。番組が終わった後で、ビー・ジーズのLP『ビー・ジーズ グレイテスト・ヒッツ』をかけながらこの記事を書いています。2枚組みのLPなのですが、《ジャイヴ・トーキン JIVE TAKIN'》、《ユー・シュッド・ビー・ダンシング YOU SHOULD BE DANCUNG》、《ステイン・アライヴ STAIN' ALIVE》、《モア・ザン・ア・ウーマン MORE THAN A WOMAN》  などを聴くと、自分が不思議にも「モテた」時代がなつかしくなります。新宿でも六本木でも、何軒かのお店から「ゴールド・カード」を頂いて、金・土・日・祝でも遊びに来て良いと言って下さったので、いつもバイキング料理を食べに行っていました。煙草の煙がもうもうとしていて、埃っぽい場所でしたが、当時は私もヘビー・スモーカーだったので平気でした。42歳で禁煙に成功し、それ以後は全席禁煙の店しか入らないため、踊りには行けない(と言うより、今は誰も相手にしてくれないから踊りに行けない)から、この番組が再放送されるのを期待しています。

2005年12月30日
私は決してNHKの回し者ではありませんが、今日もNHKの番組に基づいて記事を書きます。ETV特集で「夜回り先生」こと水谷修さん(49)を、しっかり見ました。今まで、雑誌、ラジオ、テレビで水谷先生のことを知っていたけれど、今日は水谷先生には「鎮魂の踊り」を捧げたくなりました。これほど具体的に、自分の身を削って子供たちのために何かやれる人がいるのだ・・・ともはや「祈り」に似た感情を覚えます。「水谷先生、たまには良く眠ってください」「水谷先生、長生きしてください」「あなたがいなくなってしまったら、どうなってしまうんでしょうか・・・」と言いたくなります。かつて、ラウンジ・ピアニストをしていた時、渋谷に行くと(当時はチーマーと呼ばれていた)子供たちが怖くて、「らりっている子供に刺されでもしたら困るな・・・」と思って仕事場を銀座に移したくらいだから、水谷先生には無条件に手を合わせたくなります。宗教者というものが存在したとしたら、こういう人のことを言うんだなと思いました。水谷先生から見たら、私のやっているなんて「脳天気そのもの」で、2種類(音楽・保健体育)の教員免許が泣いている・・・ということになるでしょうね。私だって24年前に教育実習を体験するまでは、「物分りの良い、ディスコの踊りもバレエも教えてあげられる体育教師」を目指していたのですが、実際、「いじめ」とか「不登校」の生徒に直面した時、私には何も出来ませんでした。また、私も「夜眠らない大学生」だったけれど、OD(オーバー・ドーズ)という言葉を、今日初めて知ったくらいですし、リスト・カットなど全く無縁でした。六本木や新宿で「楽しく」踊っていた私には、この番組で出てくる子供たちのように「生きる」ということに対する絶望などありませんでした。今はどこかで立派なお医者様になっている加藤さんなどと一緒に、決まった店で朝まで踊り明かしていたけれど、夜の世界がそんなに悪いものだとも思っていませんでした。踊っているメンバーは、本当に踊りに専念していて、当時「ブラザー」と呼んでいた米軍の黒人アーミーに踊りを習ったり、「ソウル・トレイン」という深夜番組をまだ珍しかったビデオで見て研究したりしました。煙草は吸ったけれども、薬には絶対手を出しませんでした。とにかく今の子供たちは、私が遊んでいた時代と全然違うのだな、と驚きました。当時の様子は、長野県知事兼某政党の代表でもある田中康夫ちゃんが、『何となくクリスタル』で事実に忠実に書いているから、若い方はぜひお読みください。要するに、新宿や六本木で遊んでいても、そこを卒業すれば普通の社会人に戻れる程度の「安全な」遊び場でした。今は、全然違うのですね・・・ともかく、水谷先生、一時でも長生きしてください。

2005年12月31日
海野弘先生から、海野先生のご著書をブログで紹介しても良いという旨のお葉書を頂き、先生のお返事が「・・・面白い展開を期待しています。」というお言葉で締めくくられていたので、さっそく新たな記事を更新することにしました。

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コメント

こんにちは。面白そうなブログなので、時々訪れたいと思います。

投稿: eflat | 2005年12月25日 (日) 11:55

eflat さん、ご訪問ありがとうございます。私もあなたのブログを訪問しました。美しいものがお好きなんですね。私も美しいものが好きです。

投稿: 山田明子 | 2005年12月25日 (日) 12:41

やっぱし、ミキテイは四回転ジャンプだけですよね。
荒川とか他の選手は線がキレイですが、ミキテイはどうも姿勢が悪い気がします。
ところで、山田さんとブゾーニの写真、なかなかインパクトありますね〜

投稿: Y.H | 2005年12月29日 (木) 22:33

Y.H.くん、コメントありがとう。ミキティは、バレエをちゃんとやっていないから、姿勢が悪いのです。ブゾーニは、かっこいいでしょう!私は、上手いメイクさんの化粧で思い切り顔をごまかしています(^0^)

投稿: 山田明子 | 2005年12月29日 (木) 23:47

ブゾーニかっこいいですね。
それに山田さんが、想像以上に活動的だったとは…驚きです。

投稿: Y.H | 2005年12月30日 (金) 21:08

Y.H.くん、ブゾーニのことを「かっこいい」と言ってくださってありがとうございます。まさに私は、そのことを一般に知らせたくて、ものすごい労力を使っているのです。

投稿: 山田明子 | 2005年12月30日 (金) 21:34

堀部先生のことをネットで検索していたらあなたのブログに行き着きました。私も1970年代と80年代に堀部先生にピアノを教わっていました。ところで、堀部先生は先日お亡くなりになり、今、先生のお宅の荷物を弟子たちが整理しています。ひょっとしたら松本の原田くんはご存知ですか?今は岐阜に住んでいますが、彼が先生の最後の日々の世話をしてくれました。堀部先生の家は今月末に取り壊されます。それでは。

あと、私もブゾーニが好きです。作曲としてのブゾーニしか知りませんが。リパッティの弾くブゾーニを30年くらい前に聞いたのがきっかけです。

投稿: 杉本一直 | 2013年7月15日 (月) 00:28

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