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2008年10月31日 (金)

恋愛よりも高尚な美学的興味

Ys

一旦はお蔵入りさせた記事ですが、先日、嵐(あらし)というアイドル・グループがMCをしている番組で「花より松潤」という回を観て、「劣情をあからさまにしたオバサン」の描かれ方に愕然とし、敢えて部分的に復活させました。少子化対策のつもりか何なのか、最近、安手の恋愛感情を掻き立てる雑誌記事やテレビ番組が多いように感じられます。

それより、「嵐」というグループには、もっと本格的な俳優さんがいるではないか、と思います。大野智(おおの・さとし)くんです。German Pinscher ジャーマン・ピンシャーかDoberman Pinscher ドーベルマン・ピンシャーのような精悍で賢いドイツ犬にしか興味のない私でさえ、マルチーズ Maltese のキュートさには微笑んでしまうのと似ているかも知れません。

こう書くと、今どきの「イケメン」と呼ばれる若手タレントさんに対して甘いのでは?と思われるかも知れませんが、そうではありません。例えば、同じ「嵐」の二宮くんと櫻井くんが主演だった《山田太郎物語》というドラマは、第一話をストレッチの合間に見るのが我慢の限界でした。また、松本潤くんが主演の《花より男子》は結構楽しめたものの、そう真剣に見てはいませんでした。

それに対して、TBSで金曜日の夜10時から放映されている《魔王》は、感動しながらほぼ毎回観ています。しかも、大抵の場合テレビを見ながらストレッチする私が、このドラマに限ってはテレビ画面から目を離せません。少なくとも私よりは「アリストテレス詩学」をはじめとしたヨーロッパ的なドラマトゥルギー(Dramaturgie(独)作劇術・作劇法・演劇観)に対する造詣の深い人によって、脚本が構成されている気がします。

また、キャスティングも素晴らしく、特に弁護士・成瀬領(なるせ・りょう)役を演じている大野智くんは、この人以外想像出来ない域に達していると思います。ぱっと見たところベビーフェイスだからこそ、かえって非常に「いい味」を出しています。他の番組で大野くんを観た時の印象はいかにも「あどけない感じの性格の良さそうなおとなしい坊や」なのですが、このドラマでは凄味があって素晴らしい演技力を見せています。しかも、立ち振る舞いに品があって美しいと思います。

韓国ドラマのリメイクで、犯人が最初から分かっているにもかかわらず、回を追うごとに話の展開が面白くなっています。サイコメトラー・咲田しおりは、ダンテの《神曲》に出て来る永遠の美少女ベアトリーチェのイメージで作られているのだろう・・・と勝手な感想を持ちました。

ドラマを見終わった後、書庫からダンテの『神曲物語』(野上素一訳、社会思想社・現代教養文庫)を引っ張り出して、ラファエロが描いた「ダンテ像」と命名された挿絵を眺めます。ついでにゲーテの《ファウスト》に描かれているドラクロアやネークの挿絵も眺めました。外国文学の翻訳本に散りばめられている一流画家による挿絵を眺めるのは、私のちょっとした楽しみになっています。

                   ☆☆☆☆  

上に掲載した絵は、佐伯祐三(さえき・ゆうぞう)画伯が1925年に発表した「洗濯屋にて(オ・プティ・ソミュール)」です。この絵は、私にとってのパリを最も象徴していると同時に、私の心境の一面を最もよく表わしています。最近は、この絵を見ながらバッハのオルガン曲、特に Prelude and Fugue in E Flat Major, BWV 552 St Anne 通称《聖アン》を聴いて修道女気分に浸るのが日課の一つになっています。

以前の記事やプロフィールでも書いているように、私は20~30代の頃、ディスコの従業員やラウンジ・ピアニストをしたり、飲食店の経営に関与したりして、夕方から働くような生活をしていました。明け方まで様々な「夜店(よみせ)」に客としてではなく、同業者として出入りしていたため、男子の「お悩み」を聞いて差し上げる機会も結構ありました。自分より年上ではない男性を、ここでは職業・立場・年齢に関係なく「男子」と呼んでいます。ともかく、当時は中年でなかった私にふと漏らしてくれた、彼らの「中年女性に対する本音・本心」は今や、中年となった私の貴重な財産・指針になっています。

今は「体力的理由」「健康上の理由」「美容上の理由」などから、「夜店」に出入りすることはなくなりました。しかし、さまざまな場で若い人たちと接するので、生理的嫌悪感を持たれないよう、最低でも「脂(あぶら)ぎったオバサン」や「陰険なオバサン」にはならないよう気をつけています。当然のことながら、仕事上で男子と接する場合に、余計な感情をはさまない点では、長い間、皆さまに安心感を持って頂いているところです。これは、広い意味での教育に携わる者として最低限のマナーだと思っています。

ともかく、好感を持てる爽やかな男子には日常的に結構お目にかかれるため、爽やかな空気を頂いて私もリフレッシュ出来ており、それが自分の「アンチ・エイジング」に役立っていると思います。しかし、好感とともに美学的興味を抱けるような男子にお目にかかれるのはごく稀です。この美学的興味は私にとって、恋愛感情よりもずっと次元の高いものです。

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