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2008年12月10日 (水)

アポロン(Apollon)とディオニュソス(Dionysos)

人は人間としての幅があればある程、魅力的だと思うのですが、その最たる場合を説明するために、「アポロン的要素とディオニュソス的要素を併せ持つ人」という表現を使ってみます。

Akiko06_4私には難解すぎて手がつけられないまま実家に死蔵されているドイツ系の文学書・哲学書のうち、ニーチェ (Friedrich Wilhelm Nietzsche 1844~1900)の『Die Geburt der Tragödie aus dem Musik 邦題 音楽の精髄からの悲劇の誕生(秋山英夫訳) または 悲劇の誕生――音楽の精神からの(西尾幹二訳)』をほんの少し、実感を伴って読めるようになりました。

秋山英夫先生の訳注では、アポロとディオニュソスが以下のように対比解説されています。(『悲劇の誕生』秋山英夫訳、岩波書店、230ページより引用)

アポロは光明と明晰の神。ディオニュソスは酒と陶酔の神バッカスのギリシア名。
素姓・・・アポロ→純ギリシアの神。ディオニュソス→トラキアのデーモン(鬼神)。
住居・・・アポロ→天界。ディオニュソス→大地、下界。
聖獣・・・アポロ→白鳥、イルカ。ディオニュソス→雄牛、豹(ヒョウ)、ライオン、蛇(ヘビ)。
植物・・・アポロ→月桂樹。ディオニュソス→常春藤(キズタ)、葡萄(ブドウ)。
奉仕者・・・アポロ→ミューズの女神たち。ディオニュソス→酒神信女(マイナデス)。
礼拝・・・アポロ→静的尊信。ディオニュソス→興奮的狂騒的密儀。
犠牲・・・アポロ→供物をする。ディオニュソス→いわゆる聖餐(せいさん)様式で、神自身(=雄牛)が犠牲にされ食われる。
音楽・・・アポロ→荘厳な格調ある音楽。ディオニュソス→騒々しい舞踏音楽。
特性・・・アポロ→冷静な自己抑制。ディオニュソス→陶酔、狂気。                                          

ちなみに、アポロン的要素とディオニュソス的要素を顕著に体現している過去の芸術家は、モーツァルト、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ブゾーニ・・・他にもいるでしょうが、私が興味を持っているのはこの3人です

芸術は、アポロ的なものディオニュソス的なものとの二重性によって進展していく。ちょうど生殖が、たえず争いつづけ、わずかに周期的に仲直りする男女両性の対立によって子どもをふやして行くのと、様子がよく似ている。このことをもしわれわれが論理的に理解するばかりではなく、直観によって、直接たしかめることができたら、美の学問のために得るところ多大なものがあるといえよう。(西尾幹二)

もしわれわれが以下述べるようなことを頭で理解するだけでなく、直接、具体的に確信できるようになれば、美学に寄与することは多いと思う。すなわち、芸術の発展というものは、アポロ的なものディオニュソス的なものという二重性に結びついているということだ。それはちょうど生殖ということが、たえずいがみあいながら、ただ周期的に和解する男女両性に依存しているのに似ている。(秋山英夫)

皆さんに私の境地(?)を理解して頂き易くするため、ドイツ語の原文は掲載せず、西尾幹二先生の訳と秋山英夫先生の訳を並べて掲載してみました。「論理的に理解するばかりではなく、直観によって、直接たしかめる」または「頭で理解するだけでなく、直接、具体的に確信できるようになる」ことを実感しています。そうすると、大学の哲学科に入学したばかりの現役大学生などに、「ニーチェの言動を理解せよ」と言うのは無理なことであろうと思われます。つまり、彼らはそもそも具体例に出会うことがなく、もし出会ったとしても感じ取れる感性が養われていないので、ニーチェの言っていることがチンプンカンプンだと思えてくるのです。

アポロとディオニュソスという二つの名称を、われわれはギリシア人から借りうけている。ギリシア人は、深遠なる奥義ともいうべきこの芸術観を、概念によって表わすことはしなかったが、神話の世界のあざやかなほど明晰な神々の姿をかりて、見える者には、見えるように表わしている。(西尾幹二)

アポロ的とディオニュソス的という名称は、ギリシア人から借用したものである。彼らはその芸術観の奥深い教えを、概念的でないにしても、彼らのつくった神々の世界の鮮明な二柱の神のうちに、目のある人にはわかるようにしてくれているからだ。(秋山英夫)

私は自分を「見える者」「目のある人」と思っていました。人物に対する審美眼には妙な自信がありました。しかし、2008年4月以後は、かつてのように「メドゥサ」ぶるのをやめました。・・・              

                     (Under Construction)

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